「赫 歌恋」 「先生、それ燃やして下さい」 あたしが席を立たずにそう答えると、先生はあたしの答案用紙をジッと見つめて事もなげにこう言った。 「そうした方がいいかもな」 ……え。 ちょっと、待って。 そんなに悪いの? あたしの点数。 自分で燃やしてと言っておきながら、やっぱり受験生として現実を知っておくべきだと思ったあたしは、勢いよく席を立って伊藤先生から答案用紙を受け取った。 ……44点。 あたしの将来、終わった……。