ダメだ!
無理に聞いたらダメだってわかってるんだけど、おばさんのことが気になって声が力んでしまう。
おばさんの容体が本当に大丈夫なら、圭は真っ先に“大丈夫だから心配するな”と言うはずだ。
でも、今、それを言わないということは、“大丈夫”だと言える状態ではないってこと。
圭がおばさんの事に触れないのには、きっと理由がある。
「圭、これ、懐かしいでしょ?」
今まで静かにあたし達の会話を聞いていた良ちゃんが、スクールバックの中から昨日買ったパチパチあめを取りだし、圭の机の上に置いた。
「おー、ほんとだ」
何年かぶりに見る懐かしいお菓子に、圭の目が丸まる。
「すげー。あんなに好きだったのに、気づいたら食べなくなってたな~」
圭が紫色の袋を手に持ちながら、表と裏をじっくり見て懐かしんでいる。


