「みんなもありがとう。わざわざ来てくれて。母さんは大丈夫だから、安心してみんな帰って」
みんなも、圭のお母さんの寝顔を見て安心したのか、圭の言葉を素直に聞いて病室をゾロゾロと出ていく。
ひとり一人の肩を掴んで、「ありがとう」と言う圭。
あたしは良ちゃんと一緒にもう一度おばさんの寝顔を見てから、みんなのあとに続いた。
「圭、よかったな。大したことなくて」
入り口で良ちゃんが圭に話しかける。
圭は、微笑みながら細かく頷いた。
「明日は学校行くから」
「うん。待ってるよ、相棒」
そう言って、良ちゃんがグーで軽く圭の胸を殴る。
「おう。待ってろよ、相棒」
圭が真似をしてトンッと胸を殴り返すと、意外と強かったらしく良ちゃんは「うっ!」と苦しそうに唸って顔を歪めた。
それを見てケラケラ笑う圭。
そんなじゃれ合うふたりを見て、心が温かくなったあたしは大きくお腹をさすった。


