「それに……体育祭が終わってから、みんなやる気なくて学校中が暗いじゃん」
海が、ギュっとデジカメを握る。
「俺、暗いの苦手なんだよね」
海は小さい頃からそうだった。
一人ぼっちと暗い雰囲気が嫌い。
いつもみんなでワイワイ楽しい環境を好むタイプだから。
「カメラを向けたらさ、みんな少しは笑顔になるでしょ?」
海の言葉に、良ちゃんが「そうだね」と頷いた。
その時。
サッと、あたしの左横から圭が立ち上がった。
あたしと良ちゃんの背後に回わってあたし達の腕をつかみ、グイっと上に引く。
ぐらつく体を支えながら立ち上がると、圭が突然肩を組んできた。
それだけで、あたしの全細胞がざわつく。


