翌日。
「あれ? 圭、まだ来てないね」
良ちゃんと教室に入ると、いつものように机に伏せる圭の姿がなかった。
珍しい。
圭があたし達より遅いなんて……。
いつもはあたし達が自転車でゴマ畑の道を走ってる時に、バイクで追い越して行くのに。
「寝坊かな?」
良ちゃんがスクールバックを机の横に掛けながら嬉しそうに言う。
うわ……出たよ。
人の失敗を喜ぶ“ブラック良ちゃん”。
「圭は何でも完璧すぎるから、ちょっとは先生に怒られるくらいしていいんだよ」
ハハっと冗談を言って笑った良ちゃんは、ズボンのポケットから携帯を取り出して開いた。
「でも、珍しく遅いとちょっと心配だよね。何かあったのかな」


