「きっと、歌恋ちゃんの浴衣姿を見たからね」
「えっ?」
心臓が大きく脈打った。
あの、ふたりだけのやり取りがバレたような気がして、急に緊張してくる。
動揺して目を泳がせると、おばさんは口元に手を当て、
「浴衣マジック」
と、ウインクしてきた。
それを見て、更に顔が熱くなる。
ゆ、浴衣マジック。
圭、あの日のあたしの浴衣姿、少しはキレイだと思ってくれたのかな。
みんなはキレイだって言ってくれたのに、圭だけは言ってくれなかった。
そういうのを口に出して言うタイプじゃないって知ってるけど、どう思ったのか、やっぱり気になる。
「また、来年も着られたらいいわね」
「…………」


