「おばさん、寒いんですか?」
あたしが聞くと、おばさんは羽織るカーディガンをチラリと見てから苦笑した。
「少しね。熱が上がる前かしらね」
「大丈夫ですか? 圭呼んで来ましょうか? その間、あたしがお店をみとくので」
「大丈夫よ、大したことないわ。心配してくれてありがとう」
そう言っておばさんは優しく目を細めたけど……何だか不安で、胸がざわついた。
「それより、お祭り楽しかったみたいね」
「え?」
あたしが眉を上げると、おばさんは肩をすくめて笑った。
「あの日、めずらしく圭が上機嫌で帰ってきたの」
「そうなんですか?」
おばさんが「うん」と頷く。
「感想は何も言わなかったけど、何となく雰囲気でわかったわ」
クスクスと可愛く笑うおばさんにつられて、あたしも口元をニヤけさせてしまった。


