「あ! 歌恋、圭~!」
先に神社に着いていた良ちゃんが、グレーの仁平姿で大きく手を振っていた。
華奢な良ちゃんの体には、仁平が少し大きく見えいつもの倍以上可愛く見えた。
あたし達は早速、お祭りの屋台を見ながら、たくさん集まった人達に押し潰されないように境内の方へ歩く。
すると。
「あ! 歌恋ちゃんだ! キレ~!!」
「ホントだ~!! いつもと全然違う~!!」
浴衣姿のユリちゃんとルナちゃんを発見。
「うわ~、ふたり共可愛い~」
あたしはユリちゃんとルナちゃんと手を取り合いワイワイと盛り上がった。
――パシャリ!
突然フラッシュが光ったので目を瞑ると、紺色の仁平を着た海が、デジカメであたしと圭を撮っていた。
「もう! 突然撮るのやめてよ、海。今の絶対目瞑ったでしょ~」
「気にしない気にしない」
そう言った海は、デジカメの画面で今撮った写真を確認してハハハと笑っている。
「撮り直そうか?」
「もう、いいよ!」
あたしはべーっと舌を出して、鼻筋にシワを寄せる。
「こうやってみたら、ふたりとも恋人同士みたいだね」


