「あら、やっぱり歌恋ちゃんには似合うわね」
鏡に映るあたしを見て、おばさんが嬉しそうに言った。
髪も高い位置でひとつにまとめてもらい、普段全く色気のないあたしも少しは女性に見えるようになった。
今日は、誰かがキレイって言ってくれそうな気がする。
「歌恋ちゃん」
「はい」
おばさんと、鏡越しに目が合う。
「これからも、圭のことをお願いね」
「……おばさん」
「あの子、歌恋ちゃん達といるとき、目がキラキラしてるもの」
キラキラ、してる?
「圭も稔も、素敵な友達と出会えてすごく幸せそうにしてるの。あの子たちは口に出しては言わないけど、見ててわかるわ」
おばさんはそう言ったあと、肩をすくめ「あの子たちの母親だから」と優しい口調で言った。


