「圭が生まれて、稔が生まれて。女の子が生まれるまで頑張りたかったんだけど……」
途中で言葉を止めたおばさんは、あたしの両肩を後ろから掴んで切なく目を細めた。
「私の体が弱くて、もうひとり、生んであげることができなかったの」
「……え?」
あたしは、おばさんの意味深な言葉に勢いよく後ろを振り返った。
「圭から聞いたことない? 圭と稔の下には、本当は妹がいたのよ」
「…………」
うそ……。
そんなこと、初めて聞いた。
圭は、一言もそんなこと……。
あ……そっか。
だからあのキャンプの日、圭はネットで調べて“母子の神”が祭られている祠に行ったんだ。


