「今日、夏まつりは行かないの?」
「あ、そうだ!」
おばさんに言われて、ハッと思い出した。
そう言えば、今日は神社のお祭りの日だった。
この島で一番大きな夏まつりなのに、勉強に追われる毎日で、夏の風物詩を忘れてた。
「行かないよ」
圭がクールに言う。
「え? 行かないの?」
あたしはスイカの果汁が滴る口元を手で拭いながら圭を見た。
「行かないよ。俺、人ごみ多いの苦手だし、今年はやめとく」
圭が眉を寄せたので、あたしはシュンと肩を落として良ちゃんにターゲットチェンジする。
「良ちゃんも行かないの?」
クーンと子犬のような眼差しで甘えてみると、良ちゃんは本当にあたしを犬扱いして頭をワシャワシャ撫でてきた。
「よしよし。勉強頑張ったご褒美に僕が連れてってあげる」


