「もう! いいじゃん!! 今日はこれ1枚にしとくから!!」
「だから、あたしは撮らないでって言ってるでしょ? 苦手なんだってば、写真」
あたしと海が大声で言い合っていると、机に伏せて寝ていた圭が「う~ん」と唸りながら、のそりと頭を上げた。
あたしは顔の前から両手を下ろし、亀のように首を縮めながら圭を見る。
圭の茶髪の前髪がおでこに張り付き、腕に押し当てていたこめかみが少し赤くなっている。
眠そうにフワフワと瞬きをする圭だけど、もともと二重でぱっちりしている目はどんなに細めても大きく見えた。
今朝のあたしの目とは大違いだ。
あたしも一応二重なのに……。
「ごめん、起こしちゃったね」
圭の様子を窺うようにそっと言うと、彼はアンニュイな表情で海を見た。
「海、他行って撮ってろ。今は睡眠の邪魔しないで」
寝起きのかすれる圭の声。
思わずドキっとしてしまう。
「はいはいっ! じゃあ、僕を撮ってよ!!」


