「この公式を見ながらこの問題を解いてみろよ」
圭に言われて、あたしは渋々ノートにシャーペンを走らせる。
「違うだろ」
「……え。どこが?」
圭に指摘されても、どこが間違っているのかさっぱりわからない。
あたしの隣から覗き込んできた良ちゃんが、あたしのノートを見て鼻で笑った。
「どうしてXにこの数字が入るんだよ」
「えー? 違うの? じゃあ、これはどこに入れたらいいの?」
「Yだろ、Y!」
「Y? どうして?」
全く基本の出来ていないあたしに、圭が頭を抱える。
あたしは本当にあと4カ月後に試験を迎える受験生なのだろうか……。どうしよう、浪人することになったら……。
良ちゃんと圭に置いてかれる……!


