「わっかん~ない~」
ドンドンと台に額をぶつけ撃沈するあたしを見て、圭がため息をつく。
「おまえ、そんなんじゃ、ホント大学無理だぞ」
「…………」
台に額を付けたままグイっと圭の方を向くと、圭は白い目であたしを見下ろしていた。
あたしは、「わからないものはわからない」と口を尖らせて言い、ムクリと頭を上げる。
「基本がなってないんだよ。まず、公式をちゃんと覚えろ」
圭は呆れたように言って、問題集の“ポイント”と書かれてる部分を赤ペンで囲った。
公式は覚えてるんだけど、どの数字をどこに入れたらいいのかわからないんだもん。
っていうか、この問題が出来るようになったからって、大人になったら絶対使わないでしょ。
足し算引き算、掛け算割り算が出来たら生きていけるんじゃないの?


