小さな恋の虹〜キミと描く夢〜



あたしと圭のように赫(てらし)という名字の子は、15人中8人。


名字だと誰を呼んでいるのかわからなくなるので、名前で呼ぶのは鉄則になっている。


「海、そんなにカメラが好きなら、もっと他の物を撮りなよ」


「他の物って?」


「いっぱいあるじゃん。海とか空とか、校舎の前にあるこのガジュマルとか!」


窓の外で揺れるガジュマルを指差しながらあたしが言うと、海は軽く肩をすくめ、今言った事が耳に入っていないかのように、またカメラを向けた。


あたしは、サッと両手で顔を覆いかくす。