圭の横顔が、腕と前髪の間から少しだけ見えている。
そっと覗きこむと、圭は静かに寝息を立てていた。
また店番してたのかな……。
圭の家は、小さなお土産屋をやっている。
この島には観光客の為のお土産屋さんがいくつかあるけど、圭の家はその中でも大きめのお店だ。
と言っても、コンビニくらいの広さしかないのだけれど。
お店を見ているのは、圭のお母さん。
お父さんは、ダイビングの先生をしている。
圭のお母さんは昔から体が弱く、体調を崩すこともしばしば。
その度に、圭はお母さんに代わって店番をしているの。
勉強をしながら店番をして……結構疲れが出てるのかもしれない。
「グッモーニン! エブリワン!!」
突然、教室の前のドアからテンション高めの声が聞こえ、一瞬ビクリと肩が上がった。
良ちゃんと一緒にドアの方に目を向けると、そこには、高2の海(かい)が、デジカメを手にして立っていた。
ツカツカとあたし達の教室に入ってくる。


