俺が口を開こうとすると、


「私のこと、覚えていますか?」


「え?」


“覚えていますか?”って事は、やっぱり俺が知ってるって事だよな?


誰だ?……誰……ダレ………。


あっ!!思い出した!!


この女、昔の遊び女だ!!


鎖骨の少し上部分に、ハート型に似てるホクロがある。


俺はそのホクロを見て…思い出した。


…………で、俺に何の用だ?


「ごめん、名前は思い出せないんだけど…」


「小倉 由里です」


「……あっ!!小倉商事の!?」


「はい!思い出して頂けたようで嬉しいです」


女はニコッと微笑んだ。


だからって、今さら俺に何の用があるんだ?


「で、俺に何か用?」


「えっと……ここでは…」


女が辺りを見回す。


ホテルの入口を塞いでいる俺らは仕方なく、ホテルのラウンジに移動した。