はぁ……。


俺は完全に、この目の前にいる


妻・杏花に溺れている。




リビングで企画書を作成中の杏花。


1か月ほど前から会社の仕事では無く、


カフェの運営をしている。


まぁ、俺が会社の男連中から引き離したかったって理由なんだけど。


杏花はそんな俺の気持ちを知らない。


毎日、好きな料理に没頭出来て幸せそうだ。



今も…あぁして、新しいスィーツの企画を練っている。


次から次へと新メニューが浮かぶらしく、


ここ1週間ほど、毎日あぁだ。




「杏花、俺ちょっと出て来るな?」


「えっ?どこに?」


「ん?ちょっと本屋に。見たい本があって」


「そう。あっ、じゃあコレ会長宅へ届けて貰える?」


「何?」


「コレ?来月からのフェアのパンフレット。来週で良いって言われてるんだけど、忙しくて行けそうに無いから…」


「分かった。帰りに届けて来る。他には?」


「う~ん、特には…」


「そうか。じゃあ行って来るな?」


「行ってらっしゃい。気を付けて」



俺は杏花を残し、出掛けることに。