だって最近は、お互いに仕事が忙しくて


2人きりで外出をしていないから。


思考を巡らせれば巡らせるほど謎が深まる。


ダメ……頭が痛い、また痛みが……。


ドレッサーの前でこめかみを押さえていると、


「杏花?大丈夫か?」


「え?……えぇ、大丈夫。ただの片頭痛よ」


私は作り笑顏で誤魔化すと


「マジで無理すんなって。倒れたりでもしたら…」


「大丈夫よ。身体が丈夫なのが取り柄なのよ?」


背後から包み込む要の腕にそっと手を添え、


鏡越しの要に優しく微笑むと、


「辛い時は言ってくれ…頼む」


要は軽く頭にキスを落とした。


抱きしめる彼の腕の温もりが


凍り付きそうな心を温めてくれる。


「ほら、要。急がないと遅刻するわよ?」


「ん……」


私は要の方へ向き直り、そっと要の頬にキスを。


今までの私なら抱きついてキスを求めたと思う。


けれど……今は……これが限界。