少し遠くで人の声がした。 誰かと誰かが話している声だ。 それに混じって、イイ匂いがする。 「んっ……」 目を開けたそこには、見慣れない天井。 どこにいるか、瞬時には判断出来なかった。 気だるさがある体を、無理やり起こした。 見知らぬ場所で、ベッドに寝ていることだけは分かった。 「お目覚めですか? お嬢様」 執事のような物言いで、誰かが話しかけて来た。