「ふーん。
でも、オレが怪しいとは思ったんだろう?
目、そらしたし」




私は素直に頷いた。


そう思ったことは、まぎれもなく事実だから。



私を抱き抱えたまま、彼は黙り込んだ。


その隙に前を向いた。


そんなことをしたところで逃げることは叶わないけど、ずっと目を合わせるのはキツかった。



彼の表情1つに、私のペースが乱されてしまう。


心臓はずっと、ドキドキ波打っている。


抱かれたままで、整えることは出来ない。