穏やかな表情でいる。 その顔だけ見ると、眠っているようにも見える。 「ねぇ、起きてよ。 私、まだ何も言っていないんだよ?」 私の手首を掴んでいた手も、力なく落ちた。 私は、必死で彼の体をゆする。 「ねぇ、何で言い逃げするの? そんなのズルいよっ。 お願いだから、目を開けてよっ」 それでも目を開けてくれない彼を、すがりつくように抱きしめた。 その横で、刑事が彼の脈をみる。