そこには、血を流して倒れている彼の姿があった。 私は叫ぶと同時に、彼の元へ近寄った。 彼は、目を閉じたまま動かない。 まだ息はあるけど、かろうじて生きている感じに見えた。 私が動いたのを見て、刑事が急いで救急車の手配をしていた。 そんな中、私は近寄ったはいいけど、どうしていいか分からなかった。 分からないけど、彼の手にそっと触れ、握ってみる。 「千紗……」