私の近くには、警察がうろついていたから。 うかつに動けなかったんだ。 「お願いだから、黙ってオレの前から消えるなよ」 消え入りそうな声で呟く。 そして、抱きしめる手に力が入った。 それは、彼の本音だと、本心だと思った。 姉の代わりではなく、私自身を少しでも想ってくれているのだと、思ってしまった。 そんな状態に、思わず涙がこぼれそうになってしまう。 だけど、気になることもあるんだ。 「何で、この家を知っているんですか……?」