声は間違いなく男性のものだった。 だけど、聞き覚えのない声。 なんとか顔を動かして、相手の顔を見る。 するとそこにいたのは、なんと、いつも見ているあのお兄さんだった。 好みのお兄さんの腕の中にいると言う事実が、私をドキドキさせる。 だけど、言葉を思い返せばあの時、私が見ていたことに気付いていたと言うことになる。 そうなると、不安が押し寄せてくる。 「見ていたよな?」 もう1度、低い声で言われた。