「何か、思い出したことでもあるのですか?」 口調はやわらかいけど、明らかに不審な目で刑事が見ている。 こんな時に考え込むのは、失敗だった。 「あっ、違います。 ただ、千夏姉の動機って分かったのですか?」 考えていたことを悟られないように、平然と言った。 少し、苦しかったかもしれない。 けれど、動機を知ることも刑事と逢う目的だったから。