刑事は、私の一言と表情を見てから、ため息を一つ吐いて話し出した。 「それでは、本題に入ります。 あなた方は、月島彰吾と言う青年をご存じですか?」 刑事から発せられた名前に、私の心臓は勢いよく跳ねた。 私は、彼の名字を知らない。 言われなかったし、聞くこともなかった。 だから、本人か分からない。 けれど、最初から“彰吾”と言う名前か出てくるとは思わなかった。 でも、それを悟られる訳にはいかない。