水色べんとう

「じゃあ自分で作ったらいいじゃん」
 
と、姉は言う。そんなこと言ったって、と私は少し頬をふくらませた。もう大学生にもなるのに自分で起きれないあんたに言われたくないわよ、と反論しようかと思ったが、それを言うと「ならもう高校生なんでしょ。お弁当くらい自分で作りなさい」と言われてしまいそうで、なんだか言いだせない。

私の通う高校は私の住む町と少し離れた場所にあるため、いつも朝は早く出る。そうすると、お弁当を作っている時間などなくなってしまうのだ。それでなくとも、私は朝にめっぽう弱い。夜中の十二時が一日に五回ほどきてくれれば、それも克服できるだろうなといつも思う。

「よくあんな遠い高校受けたよね。あたしだったら無理無理。寮にでも住んじゃう」
 
私に輪をかけて朝に弱い姉は、毎朝のように私にそう言う。その台詞を言うときには決まってトーストが咥えられていて、出発時間までまだだいぶ余裕のある彼女のそんな様子を羨ましく思いながら、私は毎朝家を出るのだ。姉の通う大学は最寄駅から二駅の場所にある。

それでも、誰かに起こしてもらわなくては起きれないからという理由で、私に合わせて早起きしているのだ。時間に余裕があるならお弁当くらい作ってくれてもいいじゃないか、と少し思うが、面倒臭がりの彼女がそんなことを引き受けてくれるはずもない。私は今日も、ビニール袋におにぎりを二ついれて、アスファルトの上を歩くのだった。