水色べんとう

と、いうのはまだ制服が長袖だった春の出来事だ。季節はもう夏。夏だけどさくらには春が来た。

「相上さんがねー」
 
最近さくらはしょっちゅう相上さんの話をする。私はそれを、嬉しく聞いている。

相上さんとは、学校の近くのお弁当屋さんに努める、二十歳ぐらいのお兄さんのことだ。さくらはそのお兄さんにぞっこんで(この言い回し古いな)、ここ最近は毎日相上さんのお弁当を持ってきている。私もつい昨日、紹介してもらったばかりだ。

相上さんはかなりのイケメンだった。

「よかったね、さくら。夢中になれる人ができて」
 
そう言うと、さくらはリンゴみたいに真っ赤になった。この子はすぐ赤くなる。