あたしは廊下の方へ視線を向ける。



あたしと同様に玲央くんファンの子も

一斉に廊下の方を向いた。



もちろん、葵も。

まあ葵はファンというより

ただの興味本位かも。



玲央くんであってほしくない、

心のどこかで、そう思っていた。



だけど…。



「すいません」



確かに、玲央くんの声が廊下に響いた。



みんな玲央くんの声に注目して

教室が静かになってしまったおかげで

玲央くんの声は思い切り

教室まで届いた。