誰かが教室に入ってきた

 気付かれる前に急いで涙を拭い、カバンを持ち教室から立ち去った。

 帰りながらずっと考えていた

 荻野くん……が

 ……夏井と
 
 ……友……達

 彼女とはこれ以上関わりたくない

 それなら

 もう彼の事を考えるのはやめよう

 熱なら冷まさきゃ

 まだ、何も始まっていないんだし

 平穏な毎日に戻るだけなんだから 

 そう心に決め、心を閉ざす準備をしていた。


 だけど…

 この気持ちを知ってか知らずか

 彼は

 そうはさせてはくれない様だ