空は雲一つ無い青空

 冬の東京は、空気がとても澄んでいる 

 それが余計に辛くさせる

 暫くアイツの後姿を、唯々見続けている私


 荻野に今度会うことが出来たら、今までの事謝りたい 

 ついこの間まで、そう想っていたけど

 この一瞬の出来事で、その考えが頭から消えた


 何の為に謝りたかったんだっけ?

 ……“好き”と伝えたかった? 

 ……それはない

 ……じゃぁ、なんで?

 ………

 ………

 答えは無い



 彼の姿が、豆粒のように映る


 「ありがとう」


 ずっと遠くに行った彼の後姿を見ながら、口がそう動いていた

 幸せにね


 彼の耳にも胸にも届く事の無い想い