「正確な由来とかはわからないけど、小さな子どもがお化けの格好をして、近くの家々を回ってお菓子をもらうんです。その時にお約束があって、その家の大人に“トリックオアトリート。お菓子をくれないといたずらするぞ!”って必ず言わないといけないみたいです。私はしてないです。」

「ふ~ん。じゃ、子供のお祭りなんだべか?」

「一種のイベントみたいですね。大人も一緒にお化けの格好をして、盛り上がったりすることがあるみたいです。」


「じゃ、俺達も・・・」


火燐は、ふと言葉を詰まらせる。また我儘を言っているのではないかと、感じてしまったからで・・・。


「火燐。」


緑涼は、さっと声をかけるが、火燐は下を向き、誰とも眼をあわせようとしない。