「椿ちゃんどしたべ?」

火燐に声をかけられ、我を忘れた気持ちを元に戻すことが出来た。

「あっ・・・お泊りってなると、いろいろ用意しないといけないなって・・・」
「いろいろ?」
「ほら、服とかシャンプーとか石鹸とか。」
「石鹸とかシャンプーとかは、旅館にもあるべや~。」

火燐さんとそんな話をしている時に、緑涼さんが帰ってきた。

「緑涼さん。」
「どしたべ、禮漸?」
「今年の祭りって泊まりでいいんすよね?」
「んだ。さっき帰りながら予約の電話とっといたから、前日入りで。」
「いつもの旅館っすか?」
「そうそう。月下楼だべ。」

「あの・・・」
「どしたべ、椿?」
「いつから泊まりですか?」

椿のその質問に、緑涼はカレンダーを見ながらこう答えた。