笑う美佐子の笑顔に、正嗣の不安は、氷のようにすっと解けていくように感じていた。


「この後、時間あるかな?」
「今日は、あと少しでお仕事終わりだから。」
「じゃ、俺、待ってるわ、外で。」
「後ろの方たちも?」

正嗣が振り向いた先には、涙を必死にこらえる月見と朱桜と店員の姿が・・・。

「あの子達も一緒に、美佐子の事探してくれたんだ。」
「そうなんだ。」

美佐子は、月見達のところへトコトコと足を進める。

彼女達の前で止まると「主人がお世話になりました。」と深々と頭を下げた。


「こ、こちらこそお世話になってます!」
「あ・・あの、あたいらここで退散するんで、ご夫婦で・・・」
「僕もそろそろお店に戻んないといけないんで。」


そういうと、美佐子は頭を上げ彼女達に微笑みながらこういった。



「また、いつでも主人に会いに来てくださいね。」



月見は見とれてしまっていた。


あまりにもやさしくて、あまりにも繊細で綺麗な美佐子に・・・。