あの世では、お盆の時だけの交通手段がある。
基本は、あの世とこの世を結ぶ特別電車である。それ以外にも船などの交通手段があるようだ・・・。


その時、切符を受け取った正嗣の口からぽろっと言葉が飛び出した。



「母さんと一緒に帰れたらな・・・」



月見は正嗣のことが少し不文に思えてしまった。

それは、最初に会ってからずっと感じていたことなのだが、その気持ちがさらに大きくなった気がしていた・・・。

「見つからないの?」
「そうなんだ(泣)なんか他に捜す方法ある?」
「う~ん・・・場所がわかればいいから、川の近くの役所とかいいかも。」
「役所か・・・」

三途の川のほとりにある役所。
この場所は、人間の世界でいう役所と、警察や裁判所など様々な機関が合体したような場所である。

「あそこ、公的書類の申請したり、色んな相談窓口とかあるからいいかも。」
「一回いってみるか。他にも色々相談したいし。」


あの世に来て1ヶ月。まだ生活に慣れていない正嗣は、ここに一度相談してみようと決めた・・・。