兄は予想通りの発言をする。
「うん、オレも思う。そこまで酷かったとは思ってなかった」
 姉の顔を見ながら正直に言う。
「皆に酷い人って言われるけど……そんなことないんだよ。本当に優しくて……」
「ずるいだけだよ。優しくして、自分の好きにしてるだけだ。だけど良かったな、忘れられて。今の彼氏の方がまだ幾分マシな気がする」
 兄の評価にはかなり棘があったが、嫌いなタイプではないらしい。
「めっちゃ格好いいでしょ? 背高いし!」
「俺には負けるがな、俺の次くらいには位置してるかもしれん」
 兄の真顔に思わず吹いた。
「何だよ!」
「いや(笑)。たいしたことない彼氏だなと思って」
「兄さんの表現が悪いのよ!! 俺の次とか言うから!!」
「事実だ、事実」