「あっ………」 彼女……風果が立っていた。 固まる俺に軽く会釈して 彼女は俺の横を通り過ぎて行った。 目の前には両手を掲げ俯いたままの女。 自分勝手好き放題言う女に俺は、 「悪いけど、俺にはその気はねぇし、俺には結婚する予定の女がいるから」 「へ?」 驚いて顔を上げた女に俺はとどめを差す。 「悪いけど、アンタじゃ俺は落とせない。俺を落としたのはアイツだから…」 俺はそう言って、通り過ぎて行った彼女を指差した。 目を見開いて硬直する女に、 「悪いな」 そう言い残して、風果の後を追った。