陽雄は思ったより早く戻って来て、あたしが待っていたことに少し驚いたようだったけど、どこから持って来たのか、消毒液であたしの手を取り消毒し始めた。
「陽雄?消毒なんてしなくて大丈夫だって!」
「駄目だろ。バイキンはこういう所から入るんだぞ」
「…いや、でもここまで…」
そう言ってしまうのには訳があった。
消毒を5回もして、その上から絆創膏貼って、おまけにガーゼって…。
「…陽雄?絆創膏の上からガーゼは意味無いんじゃ…」
「うるせっ。念のためだよ、念のため!」
念のためって。
「…あははっ」
思わず笑ってしまった。
だって、陽雄すごい不器用なんだもん。
元々紙で指先切っちゃった、くらいのケガなのに。
慣れない手付きで必死に手当てしてる陽雄が、………愛しく、嬉しく思っちゃったんだ。
突然笑い出したあたしに、陽雄は一瞬驚いた表情をしたけど、すぐにフッと微笑んだ。
「…久し振りだな」
「え?」
「…いや、何でもない」
……あ。そういえば、陽雄が笑うなんていつ以来だろう。
あたしを見て、笑うなんて……。
陽雄は最後に包帯を巻いて、小さく「…よしっ」て言った。


