「姉ちゃん…」 「何が陽太をよろしくだ。夏帆が戻ってきたら、思いっきり文句をいってやる。だから陽太、待ってような。夏帆のこと」 「うん!」 津川先生に頼まれて、病室に残っていた夏帆のものをかたづけることにした。 「なぁ奏。なんか挟まってる」 「奏じゃなくて奏さんだろ。で、なんだ?」 引き出しと引き出しの間に挟まっていたもの。 薄いピンク色の便箋だった。 それには、確かに、 小さい字で。 “奏くんへ” と書いていた。