「お待たせ」



そう言ってポテトと、再び水をもらってきた優美が席につく。

財布を取り出してお金を半分払おうとした私に向かって首を横に振る。

私の財布の中身はせいぜい千円がいいところ。

素直に好意を受け取り、財布を元に戻した。


この時既に、この店に来てから二時間が経過していた。

女の話ってどうしてこんなにダラダラと長く続くんだろう。

それでも飽き足らず、追加のポテトは後二時間は確実に居座ることを意味していた。

ペーパーナプキンの上に少し広がるポテト。



「紗夜香さぁ」



何だかもったいつけるように言葉の続きを言わず、ポテトを一つ掴んだ優美は口に運んで美味しそうに食べる。

意味深な口振りが気になりつつも、私も手を伸ばしてポテトを食べる。

揚げたてのポテトは熱くて、一口で食べれずに少しずつかじっていく。

その間も沈黙は続く。



「何もなくてよかったね」



ようやく続きを口にしたかと思えば、呆れているかのようにしみじみと言葉を投げかけてきた。