―――……



マンションのベランダから高柳は空を見上げる。

ビルの間からは星が輝き始めていた。



「見送りに行かなくていいの?」



ソッと後ろから声をかけられ振り返ると、静奈が高柳を気遣うように見上げていた。



「見送り?」

「圭子さん…、今頃空港でしょう?」



そう。

圭子は今日の夜の便でアメリカに帰る。



静奈は高柳に近づいて身体を寄せると、高柳は後ろから包むように抱きしめた。


風邪が冷たいからその温もりは心地よい。



「社長は見送りに行ったって。」

「知っている」

「律はいいの?」



律には圭子の言葉を伝えていた。