―――………… それは突然のことだった。 会議が終わり、まとめた資料を社長室に持って行くと、決裁判を押していた社長の携帯が鳴った。 資料に目を通しながら社長がポケットから携帯を取り出し、ディスプレイを確認。 そのまま固まってしまった。 「社長?」 その場にいた静奈は首を傾げる。 明らかに社長の様子がおかしいのである。 「どうかなさいましたか?」 「…まずい…」 「え?」 社長は低い声で呟いた。 「お袋から電話だ…」