威鶴の瞳



「人間……生き物っていうのは、止まっているように見えても微弱ながら動いている。呼吸をするし、心臓も動いているから。それによって身に付けているものはかすかにこすれて音がする」

「それを聞き分けてるってことか?」

「そういうことです」



雷知は理解が早くて助かる。



ようやく三つめの能力……と言うよりは特技に近いことを告げる。



「そして最後に、これは特殊というわけでもないですが、指先が器用な方ですね」

「指先?」

「感覚的には、マジシャンみたいなものです」

「マジック出来んの!?」



あぁ、またマサルが叫んだ。

そのマサルを殴る雷知。



彼の脳細胞は、こうしてどんどん死滅していくんだな。



「マジックはしませんが。あとはまぁ……スリとか、子供の頃には千羽鶴が作りたくて1センチに切った折り紙で千羽鶴つくりましたしね」

「うわ、俺ムリそれムリ!」

「まぁ実行する人はいないでしょうね。実践ではカードキーをスッたり、急所を一突きしたりしましたね」