俺の様子に気付いたトーマが、敵の隙を作ったのか。
ありがたく、そのスキを狙って地面にある石コロを赤い服の──いい、面倒だ。
赤男(あかお)でいいだろ。
赤男に投げつけた。
さすがに経験値が他の奴とは違うのか、その石はよけられたものの、当初の目的は果たした。
奴が俺を見た──。
割と浅い記憶でいい。
数日前の記憶を重点的に探す。
そしてたどり着く記憶は、俺の今欲しているもの。
そう、この日常の部分の過去。
俺の勘が間違いなければ、俺の欲しい情報があるはずだ。
赤男は、過去を探られているとまではわからないが、違和感に気付いたらしい。
「違う方のヒョロい男を先にやれ!!」
俺に視線を向けたまま、仲間に向かってそう指示した。
チッ……面倒なことになった。
俺達の後ろで控えてた奴らまで合流して来やがった。
数十人いる男をトーマがなぎ倒していく。
俺はトーマが庇ってくれている間に、急いでお目当ての記憶を探した。



