トーマが動こうとすると、続いて左からも出て来た。
左右から挟み撃ちだ。
「頼んだ」
「おーよ」
戦闘は相棒のトーマに任せる。
俺はというと、赤の男に目を付けて。
こっちを向いてニヤリと嫌な笑みを見せるその男。
少し過去を覗かせてもらおう。
奴の目は今、戦闘真っ只中のトーマに向いて、腕を組んで観戦している。
これをどうにかして俺の方に向けたい。
瞳が合わないと、俺のこの能力は発揮されないからだ。
トーマが戦闘中だとはいえ、俺だって殴りかかってくる連中を避けてはいる。
必要最低限の動きで。
音でどこからどう来るのか、把握できるからな。
動きながらでも赤い服の男と目を合わせたい。
奴が、戦っているトーマから目立たない俺の方に目を向けるように仕向けた上で。
どうするか……。
──直後、敵に隙が出来た。



