「ダメだ……。あんなにも心を決めていたつもりでいたのに、いざ戻るとなると気持ちが焦る」
「戻る?」
「原因が姉なら、結果も姉だ。姉で壊れて姉で修復する。となると……姉と会っていたとしたら、俺は近いうち消える。すでに消えててもおかしくないくらいだ」
それがなぜ消えずにいるのかは、わからないけれど。
いきなりトーマがソファーから立ち上がった。
「いきなりどうした?」
「BOMB行くぞ。調べるんだろ?ねーちゃんの事」
それにしても、いきなり過ぎるだろ?
「おいバカ、何考えてんだ?まだ5時だ。せめて7時以降じゃないとレインは──」
「ならレインを呼ぶ」
「はぁ!?」
ケータイに手を伸ばすトーマの手を叩き落とす。
「バカかお前は?私事で上司呼び出す気か?しかも依頼で……」



