過去というものは、それ自体が弱点の塊だ。



人は失敗をして成長をする。

後悔する事も多い。



だからこそ、この能力は俺の武器になる。



「そう、だな……」



トーマの過去も、相当ヒドいものだった。



平気で人を傷付ける。

暴力、拷問、したりされたりの毎日。



ある依頼ついでに、俺はこの男を拾ってしまった。

あまりにもドロドロした世界に籠もっていたから、少し同情したのかもしれない。



この男を拾った、そしてそれはどうやらトーマにとって救いの手となったらしい。



そして今に至る。



「親が怖いか」

「……出来れば、会いたくない」

「もう何年も会ってないだろ」

「……怖いんだよ、自分が制御できなくなりそうで」