「あーぁ、ねみぃ」



一緒に外に出てきたトーマが言う。



「家に着くまで寝るなよ」

「わかってる、殺されたかねーからな」



俺達の仕事がたとえバイトだとしても、正社員と同等の危険は常にある。

依頼があれば恨まれるようなこともする。

今回の件のように、敵側にとっても利点がある戦いが出来れば、危険も減ることがあるけど。



「まだ、さ。帰ってねんだよ、俺」



ふと話し始めたトーマ。



「さっき竹原叶香から聞いた」

「現役時代の仲間が、行方不明になって……探してる間にイロイロ、思い出しちまうんだ」

「今日も探してたのか?」

「……あぁ。気付いたら、指定された時間を過ぎてた。悪かった」



どうやら今回の遅刻の理由らしい。

もうサングラスを付けていないトーマの眼を見る。

少し強張るトーマ。



「過去を見るわけじゃないから、そんなに怖がるな。大体、今は眼帯をしているだろ」