手……出された、だろうか……?

そこは威鶴が気になってなかなか出して来ないのかも――って、ちが、別に、違、私、手出してほしいとかじゃなくて、違くて……って、誰に弁解してるんだか……。



とりあえず、深呼吸をする。



でも、手を出されないということは、私のことはそういう対象としては見ていないのかもしれない……と思うと、少し寂しい。

寂しい、というか、悔しい……とも違くて。

ショック……というのが、一番しっくりくるのかもしれない。



「だってキスなんて挨拶とか言うようなバカ兄貴だから」

「キ……!?」



またもや私からすると爆弾発言。

キ、キ、キ……き、す……って!?



今まで、そんな経験どころか、話すらもまともにしたことがなかった私にとっては、その言葉だけですでに刺激が強く、顔に熱が集まる。

辺りは真っ暗だから顔は見えないとはわかっているけれど、照れるしぐさまでは隠せなくて。



「……。え、うそでしょ?今『キス』で照れたの?え、ちょっと待って、占い師さんいくつですか?」

「……23、です」



真顔になった竹原叶香に、私がいかに人生経験が浅いのかを悟った。